スポンジケーキが膨らまない理由は?

お菓子や料理

イベントや大事なときに作りたいスポンジケーキ。そんなスポンジケーキですが、難しいことで有名です(笑)でも、お祝いで使うことも多いスポンジケーキですから自分でうまく作ってみたいですよね!スポンジケーキが難しいと言われる理由は膨らまないことがあるから。膨らまない理由を製菓アドバイザーがくわしく解説していきます。さらに、スポンジケーキのかんたんなデコレーションまでご紹介していますのでぜひ御覧ください。

作者 MIYAVI
作者 MIYAVI

作者プロフィール
MIYAVI。製菓アドバイザー。幼少期からお菓子作りが好きで、パティスリーで働いたのち製菓アドバイザーの資格を取得。科学的な根拠に基づいたお菓子作りのコツを誠意製作中。月に読むレシピ本の数は10冊超え。SEOコンサルもやっている。

こんな人におすすめ

スポンジケーキのコツを知りたい
スポンジケーキがうまく膨らまなかった
かんたんなデコレーション方法を知りたい

スポンジケーキとは?

スポンジケーキはショートケーキやロールケーキで土台になっているケーキのこと。

スポンジケーキが作れるようになればいろいろなケーキが作れるようになりますので、挑戦してみた方も多いのではないでしょうか?

しかし、スポンジケーキはコツを知らずに作ると難しいケーキです。

うまく膨らまなかった。
焼いたときはよかったのにしぼんでしまった。
パサパサになってしまった。

こう悩む方も少なくありません。

ですが、スポンジケーキはコツさえつかめば誰でも作れるようになります!

たとえば、スポンジケーキが膨らまなかった理由は、スポンジケーキを作るときに大事な湯煎を怠ってしまったことや混ぜたりなかったことがあげられます。

ひとつひとつ解説していきますね。

スポンジケーキの定義

解説の前に。スポンジケーキの定義を再確認しておきます。というのも、実はスポンジケーキという名のケーキはないんです。スポンジケーキといわれているケーキはジェノワーズとビスキュイの2種類のことをさしています。

いわゆるスポンジケーキと言われているケーキは、ジェノワーズのこと。ジェノワーズはバターと牛乳が入っている生地で口溶けがよくしっとりしています。


いっぽうのビスキュイは卵・薄力粉・砂糖というシンプルな生地で作られたケーキ。

日本ではとろける食感が好まれるのでジェノワーズが主流ですが、ケーキの本場フランスでは、しっかりとした食感のあるビスキュイが主流です。

この記事ではジェノーワズのことをスポンジケーキとして紹介しています。

スポンジケーキのレシピの流れ

卵を湯煎にかけて混ぜながら泡立てる

砂糖をくわえてしっかりと泡立てる

薄力粉をくわえてさっくりと混ぜる

バターと牛乳を生地に合わせる

オーブンで焼く

スポンジケーキは温度管理が重要

スポンジケーキは共立てとよばれる泡立て方で作っていきます。共立ては卵を卵黄と卵白にわけず、一緒に混ぜる方法です。泡立ちをよくするために湯煎して泡立てるのが基本。

湯煎とは、60℃~100℃のお湯をボウルに張り、その上にボウルを重ね置きして作る調理方法のことです。直接火にかけるわけではありません。

なのですが、湯煎して泡立てたらそれでおわり、と思っていませんか?実は、作り終えるまで温かみのある状態をキープしないとスポンジケーキはきれいに膨らまないんです。

卵を泡立てているときは40℃前後にし、焼き終わりも30℃くらいを目指します。正確には、以下のとおりが理想の温度です。

60℃のお湯で卵を湯煎する→40℃になったら湯煎から外す→よく泡立てることで25℃くらいまで冷ます→60℃の溶かしバターをくわえて30℃にする

科学かよ!!と突っ込まれてしまいそうですね。

実際そうです、お菓子作りは科学なのです。

実際にはここまで繊細に温度管理しなくてもうまく作れますので、これはイメージとして捉えていただければ大丈夫です。

ここまで温度を気にするのには3つの理由が。

湯煎すると泡立ちやすくなる

1つ目は泡立ちやすくするため。

レシチンで卵黄と卵白を混ざりやすくする+表面張力を低くする=泡立ちやすくなる

スポンジケーキは卵に空気の泡を作ることで膨らませています。この気泡は混ぜれば混ぜるほどできるものですが、卵黄と卵白がしっかり混ざっていないときれいな気泡ができません。

卵を割ったとき、卵黄と卵白は別れて出てきますよね。これは卵黄が脂質で卵白は水分で作られているからです。みなさん御存知のとおり、油と水分は相容れぬ存在なので、本来なら卵はしっかりと混ざることはありません。

しかし、卵をかき混ぜ続けていくときれいに混ざっていきますよね。

卵が混ざるのは卵黄にあるレシチンと呼ばれる乳化剤のおかげなのです。

乳化剤はドレッシングを作るときに使われるもので、油と水を混ぜる力があります。マヨネーズは油と酢(水分)を混ぜて作るわけですが、きれいな黄色になっていますよね。これも卵黄のレシチンのおかげ。

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このレシチンは40~50℃に温めるとより力が強まります。

共立てのスポンジケーキは混ざりにくい性質があるので、レシチンを活かすために湯煎する必要があるのですね。

ほかにも、温めることで表面張力が低くなり卵の流動性が上がるので混ざりやすくなるという理由もあります。

卵の気泡は熱すぎると消えてしまう

湯煎して温め続けると、卵はどんどん泡立っていきます。これをうまく活用して作るのがスフレオムレツです。

バターを固まらせないために温める

スポンジケーキには最後のフェーズの方でバターが入ります。このバターはかならず溶かしてくわえます。

というのも、バターは冷えると固まる性質がありますので、溶かさないとうまく混ざりません。

さらに、バターは、一度溶かしても冷えればまた固まってしまいます。

バターは冷蔵庫に入れていると固まるよね

生地にいれるときにちょうどいい温度が60℃なのです。

60℃にしておけば、生地にいれたときにちょうどいい温度になってくれます。

バターを熱々の100℃で入れるパターンもありますが、熱々のバターを入れると気泡が壊れてしまい、キメが粗くなってしまいます。卵は熱すぎると固まってしまいますし、温かいときにできた気泡は崩れやすいものです。

ですので、スポンジケーキの材料は冷めないように気をつける必要があるんですね。

スポンジケーキを作るときは材料を室温に戻しておく、卵は殻を割っておく、など、温度が一定になる工夫をくわえると膨らみやすくなります。プロのパティスリーでは小麦粉や砂糖をオーブンにかけて温めることもあるくらいですよ。

オーブンに入れるまで温かい状態をキープしておけば、膨らみやすくなります。

これからスポンジケーキを作るときは、材料の温度に注意して作ってみましょう。

スポンジケーキはとにかく早く焼く

スポンジケーキで大事なことは、スピードです!

さっきの温めておくべき理由で、生地は温めた状態で焼くべきだということがわかりました。時間が経てば経つほど泡が消えていってしまいます。これでは、せっかく泡立ててもきれいに作れません。そのため、作り始めてから慌てないように準備をしっかりしましょう!

ジェノワーズで意外にも手間取るのは、クッキングシートを貼り付けていなかったり、オーブンを予熱しなかったりといった下準備にあります。

作り始める前にレシピを頭に叩き込み、すぐ型に流し入れてオーブンに入れるようにしたら、きれいに膨らむスポンジケーキになりますよ。

目安は10分です。慣れると5分前後で作れるようになりますよ。

それくらい実はスポンジケーキというのはシンプルなレシピなんです。コツさえマスターすれば手軽に作れますので、作り始める前にしっかり下準備をこなし、レシピの流れをイメージしてスムーズにオーブンまで持っていきましょう。

スポンジケーキのコツ③粉を入れるときはやさしく

スポンジケーキを上手に作るには粉の入れ方が重要です。きれいに膨らませるにはやさしく粉をいれましょう。

どれだけふるいにかけていても、一度にドバっと入れてしまうとダマになりやすいのです。それに、一部にだけ小麦粉がある状態だとムラになりやすく、きれいに混ぜるために何度も混ぜる必要が出てきます。

理想は誰かにふるってもらいながら混ぜることですが、それができない方は小麦粉を何回かわけてふるいいれるようにしてください。

また、本当においしくフワフワに作りたい方は、小麦粉を3回はふるうのがおすすめです。ふるう時も、スプーンで押し出したり、ふるい器で押し出したりはせず、手でぽんぽんと叩きながら高い位置でふるいます。

こうすることで空気が入り、粉がたちやすくなります。プロのパティシエがやっていることなのでぜひ参考にしてくださいね。

スポンジケーキのレシピ

18cm型のホールケーキ1台分

卵 3個
グラニュー糖90g
薄力粉90g
バター20g
牛乳10ml
バター 適量(型に塗るもの)

※卵1個あたりグラニュー糖30g薄力粉30gバターや牛乳10gが基本なので型に合わせて調整してください。

下準備
  • オーブンを170℃に温めておく
  • 卵を割っておく(といてはいけません。といたまま放置すると表面が固まってきます)
  • 薄力粉をふるう
  • バターと牛乳を耐熱容器にあわせて入れ、レンジで溶けるまでチンする
  • キッチンペーパーを型に合わせてカットする(底と側面の2つが必要です)
  • 型用のバターをレンジで溶かし、キッチンペーパーの裏面につけて型にぴったりと貼り付ける(風味がつくのでかならずバターを使用してください)
  • 60℃程度の湯煎をボウルに用意する

1.卵を湯煎しながら泡立て器でときほぐす。充分温かくなったら砂糖を入れてしっかりと混ぜる。

2.ハンドミキサーでふわふわになるまで泡立てていく。生地をすくってボウルに落としたとき文字が書けるくらいまで泡立てる。

リボン状になるくらいだと高さは出ませんがしっとりし、さっくりと切れるくらい泡立てると高さが出ますがパサパサしたスポンジになりやすくなります。お好みに合わせて混ぜ具合を変えてください。

3.薄力粉をくわえていく。一度にくわえず、何回かわけてくわえる。ゴムベラでさっくりと混ぜる。混ぜたりないと膨らみが悪くなるので、小麦粉が見えなくなるまできちんと混ぜること。目安は30回。

4.温めておいたバターと牛乳が入った容器に、3の生地を少し入れてしっかりと混ぜる。ふたたびもとのボウルにうつして、ゴムベラでなじませる。ここでは艶が出ればOKなので混ぜすぎないこと。

5.型に生地を流し入れる。流したとき、ヒダになって流れていくくらいがほどよい仕上がり。だらーっと流れてひだにならない場合は混ぜすぎ。ボタッと落ちてしまう場合は混ぜたりない。底の生地は端にいれる。自然に落ちない生地やゴムベラについた生地は使わない。

あまった生地は小さなセルクルに入れて焼くのがおすすめです。プチガトーが作れますよ。

6.170℃のオーブンで25~30分焼く。焼き上がりの見極め方は、スポンジケーキの中央を手のひらでゆっくり押してみることで確かめられる。弾力があれば焼けている。弾力がなく沈み込むようなら焼き直す。なお、強く手のひらで押すと手のひらのあとがつくので、ほどほどの力で押すこと。

竹串をさすのは穴があくのでおすすめしないです

7.焼き上がったら、すぐに型から外してさかさまにし、クーラーの上に置く。なお、このとき側面に色がついていなかったら焼き足りないので、すぐに型に入れ直して追加焼きする(上にはアルミホイルを載せるなどして焼き上がりすぎない対策をしておく)。クーラーの上においたら、キッチンペーパーをつけたまま、ケーキの周りに硬く絞った塗れタオルを貼り付けて冷ます。一晩おいたあとが食べごろ。

冷ますときに塗れタオルを載せるとしっとりするのでおすすめです。また、キッチンペーパーははがさないようにします。

スポンジケーキを簡単にデコレーションするコツ

スポンジケーキはきれいにデコレーションするのが難しいお菓子です。
やわらかいスポンジに、やわらかい生クリームをきれいに塗るのは至難の業。一回で成功する人はほとんどいません。何時間もかけて作ったのにきれいにスポンジケーキがデコレーションできないと、心が折れてしまう人もいます。

また、スポンジケーキに売り物のケーキのようにムラなく生クリームを塗るには、回転台と呼ばれる専用の道具がいります。

普段お菓子作りをしない方は持っていない道具……。

そこで、かんたんに、そしてかわいくデコレーションする方法を考えましたのでお伝えします。ぜひ参考にしてください。

生クリームを縦に塗る

はじめての人にオススメなのが縦に塗るデコレーションです。

生クリームをパレットナイフ一面に取ったら、ケーキの側面に垂直に向かって貼り付けます。貼り付けたら、底から上に向かって引き抜くだけ。これを繰り返していけば、まるで白い丸太のようにデコレーションすることができます。あとは、包丁かナイフで、生クリームに縦の細線を細かくくわえてあげれば、さらに丸太っぽく仕上げることができます。

この技はとくにクリスマスシーズンで使えるものです。

スクエア型のケーキにする

スクエア型のケーキもおすすめです。

スクエア型はこういった形のケーキ。


スクエア型の利点は、クリームを側面に塗らなくていいこと!

そして、いちごやマスカットなど果物を型の側面に向かって貼り付ければ、あっという間に映えケーキの完成です。

生クリームをちょんちょんとくっつける

生クリームをちょんちょんとケーキの側面にくっつけるのもおすすめのデコレーション方法です。

まず、生クリームをスポンジケーキの全体に塗ります。上にまた生クリームを塗るので、このときはおおざっぱで大丈夫です。ざっくりと塗ってしまいましょう。

そしたら、生クリームを先につけたパレットナイフで、スポンジケーキをちょんちょんとやさしくタッチしてあげます。すると、かわいらしい雰囲気に変えることができます。

生クリームを塗り直すとムラができることを活用したデコレーション方法です。ぜひ使ってみてください。

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