「柑橘のお菓子とデザート」レシピ本レビューと実際に作ってみた感想

お菓子や料理

「柑橘のお菓子とデザート」はどんな本?

こんな人におすすめ

柑橘を育てている

プロのレシピを知りたい

おしゃれなお菓子を作りたい

桃のお菓子作りや、モンブランの発想と組み立てなど、著名なレシピ本を発行している誠文堂新光社のレシピ本。今年の10月に発行されたばかりの著書です。

表紙はオレンジと黄色の2パターンカラー。オレンジとオレンジ色のケーキが載っているのでインパクトが大きく、思わず手に取ってしまう本です。

1ページ目からシックなお菓子の写真が。この本はページをめくるたびに洗練されたお菓子の写真が目に飛び込んできます。精鋭パティシエの創作菓子が多く、細部までこだわりつくされた作品の数々を堪能することができますので見ているだけでも楽しい本です。

レシピは、全体的におしゃれでハイソなものが多いです。柑橘を極め、他と差をつけた柑橘のお菓子を作りたい人にうってつけのレシピ本です。パティシエにおすすめですね。1工程1工程を写真付きでレシピが紹介されているわけではないですが、コツも記載されていて、しっかりとレシピは書いてありますので経験者の方は問題なく作れるでしょう。ただ、材料自体は特殊なものが多いため、このレシピのまま一般家庭で作るのは難しいかもしれません。

特筆するべきは表紙めくってすぐにある柑橘品種図鑑です。柑橘図鑑だけではなく旬の季節や栽培の方法まで紹介されていますので、普通のレシピ本としてではなく柑橘を育てる人にもおすすめできます。紙の照りや質感もよいので、長期保管できる本です。

日本の柑橘品種が図解付きで載っている

この本には、柑橘の部位による味の違いや成分の違いが細かく記されています

柑橘の系統図柑橘の起源となった果物、シトロンからはじまり、なんの柑橘と柑橘が近縁種なのか柑橘の栽培サイクル、風土マップ、果てには品種の出回りカレンダーまで用意されています。

お菓子作りをしない人でも、柑橘について知りたい人や柑橘の栽培をしている人にも重宝される本でしょう。

ジャムやコンポートなど大量に消費できるレシピがありますし、焼き菓子からかき氷など一年を通じたレシピを知ることができます。

特に、柑橘は一度に多く収穫できますから、たくさん柑橘が手に入ったけど食べきれない…どうしよう。なんてときにあると便利な一冊でしょう。ですので、お菓子作りだけではなく家で柑橘を育てている人にもおすすめできる本です。

柑橘の一般的な糖度、クエン酸濃度まで記してありました
15度以上の糖度、酸度1%がもっとも甘みが強く感じられる割合とされていて、実が熟すほど酸度が下がるのでほどよいタイミングを見計らって収穫しているんだそう
身近な果物である柑橘が、どんな手間をかけて来たのかと考えると感慨深いものがありますね。


レシピのレビュー


パティシエが監修しているだけあって、使う素材は厳選されていますが、プロの志向のレシピを味わうことができます。

豊富な柑橘の味の違いを活かす組み合わせを研究されたレシピなので、思いもよらない組み合わせがあります。たとえば、ヤギミルクのアイスに、レモンクリーム、チーズ、山葵、アクセントにはワサビ。チョコレートでできた器にホットミルクをかけて食べる、という、想像するだけで楽しいスイーツレシピもありました。パティシエならではの洗練されたレシピが知りたい人にうってつけの本です

ただ、ご家庭で作るには難しい材料もありました。

たとえば、レ・リポ、コンバウンドクリーム(レクレ)、ソミュールなどなど、一般家庭では聞いたこともないような材料が出てきます。そういったものを身近なもので代用するなどの工夫が必要になります。この組み合わせならではの味になるのはたしかですので、材料が手に入ったらぜひ作ってみてください。珍しい柑橘が手に入ったときなんかに引っ張り出して作ったら楽しそうですね。

また、コンフィチュールやぼんたんあめのレシピが詳しく載っていました。コンフィチュールなどの詳しい写真付きのレシピ本はあまりないので、コンフィチュールを作りたい人におすすめしたいです。

レシピにある、ラスティックタルトを作ってみた

その中でも特に美味しそうな、金柑のタルトを作ってみました。金柑とゴルゴンゾーラのラスティックタルト。ラスティックタルトとは、型などを使わずフラットに焼いたタルトのことをさします。ラスティックは英語でrustic、素朴な、という意味です。

手軽に作って食べられるタルトということで、味はこっくりと甘すぎることなく、ゴルゴンゾーラの塩みと金柑の自然な甘さをあわせてカジュアルにほおばれるものをイメージして作られたそうです。

レシピごとに、どんなイメージで作られたのかが書いてあるので、読むだけでも楽しめますね。

金柑とゴルゴンゾーラのラスティックタルトの作り方の流れは

まず、金柑のコンポートを作ります。鍋1つで作れるので簡単ですよ。
それから、ブリゼ生地をフードプロセッサーで作り、空焼きします。
クレームダマンドを使り、空焼きした生地に、ちぎったチーズ、クレームダマンド、金柑のコンポートの順にのせてオーブンで焼くだけです。
飾りにナパージュを塗ってペッパーやタイムを飾り付けます。

私は、こちらのレシピを、きなこのクレームダマンドにしたり、カマンベールチーズにしたりとアレンジをくわえて作らせてもらいました。上にのっているものも、ディルとライムなので、スパイシーな風味がします。ペッパーの代わりだったので、あえてディルにしました。

友達に食べてもらいましたが、今までにない組み合わせでおしゃれなお菓子だと言ってもらいました。チーズ入りのタルトなので人を選ぶお菓子かもしれませんが、好きな人は好きなお菓子だと思います。私はゴルゴンゾーラが手に入らなかったのでカマンベールに合う組み合わせにしましたが、次回はブルーチーズで挑戦してみたいですね。また、今回は型ありのタルトにしてみましたので、次はラスティックに挑戦しようと思います。

実際に店舗でも販売されています


こういうレシピ本では、実店舗で販売されていないことが多く実食できないため、どんな味になるのかはイメージするしかないものが多いのですが、こちらのレシピでは実店舗にも置いてあるお菓子があります。私が作った金柑とゴルゴンゾーラチーズのラスティックタルトもそうです。こちらは実店舗ではオレンジとブルーチーズのタルトとして販売されているようです。

テト (名鉄岐阜/洋菓子)
★★★☆☆3.41 ■予算(昼):¥2,000~¥2,999

販売店舗は、岐阜県のthé et toi.(テト)

https://www.the-et-toi.blue/

通販もやっているそうですので、興味がわいた方はぜひ。

他にも星野リゾートシェフパティシエの厚東宣洋さんや、広尾のフレンチレストランOdeのレシピなど、スイーツの最先端ともいえるパティシエたちのレシピを拝むことができます。ぜひ一度手に取って読んでみてください。

「柑橘のお菓子とデザート」の詳細

柑橘のお菓子とデザート | 株式会社誠文堂新光社
柑橘の生かし方がわかる、人気店のレシピ70以上を掲載。柑橘品種の歴史と系統がよくわかる読み物とチャート付き。

風味を活かした焼き菓子、生菓子から、ジャム、パフェ、かき氷、デザートまで。日本の柑橘品種図鑑付き
柑橘のお菓子とデザート
2021年10月15日発行
株式会社 誠文堂新光社
著者
江藤秀樹、金井史章、木村琢朗、生井祐介、上妻正治、厚東宣洋、古野さつき、小山千尋、杉江 綾、野田雄紀、堀尾美穂、森 郁磨、山中さよこ

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